前回の記事では、筆者がフリーランスとして独立するまでの経緯をご紹介しました。
タイトルの通り、私は開業届や確定申告についてよくわからないまま独立しています。
普通に会社員をしていると、開業届を出す機会はありませんし、税金のことは会社が代わりにやってくれます。
学校でも詳しく教えてくれるわけではないので、自分で調べないとわからないことだらけです。
この記事では、そんな私が何も知らずにフリーランスになってやらかしたリアルな失敗談をご紹介します。
これからフリーランスになりたい方、興味がある方に向けて、「独立前に知っておきたかったこと」をお伝えします。
目次
開業届のはなし
開業届を出し忘れる、ぐだぐだなスタート
結婚を機に引っ越し、新生活のドタバタの中でなし崩しにフリーランス生活がスタート。
幸運にも独立前に勤めていた会社から仕事をもらっていたので、在宅の外注スタッフみたいな気持ちで受注を続けていました。
「開業届」は、屋号を決めたい人や自分で会社を興す人が出せばいいものだと勘違いしていた私は、つい提出を後回しにしていました。
そして初めての確定申告シーズン。
もちろん青色申告の申請をしていなかった私は白色申告で1年目の確定申告をしたのですが、同じく自営業をしている友人から「もったいないよ!」と言われて初めて、開業届を出した方がいいのかな…?と気付きました。
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)は、個人事業主が事業を始める際、開始1ヶ月以内に税務署へ提出することが所得税法で義務付けられています。
開業届を提出し青色申告をできるようになると、最大65万円の控除を受けられるようになる他、屋号を決めた場合は事業用の銀行口座を開設できるようになり、事業資金の融資を受けやすくなるというメリットもあります。
開業届を出していないと罰則はある?
ぶっちゃけ、開業届を提出していなくても特にペナルティなどはありません。
実際、私も開業届を出さずに数ヶ月仕事しており、白色申告での確定申告はできました。
ですが、遅れてでも提出して、青色申告ができるようになったのは結果的に大きなプラスでした。
ちなみに私は屋号を定めていませんが、屋号の有無にかかわらず、「ちゃんと開業した」と示すためにも、開業届は出しておくことをおすすめします。
確定申告のはなし
そもそも確定申告って何?
「確定申告」=「会社からの給料以外の稼ぎがあったら、それを税務署に報告するもの」
というふんわりとした知識で独立したの、今考えたら自分でも相当やばいと思います。
「確定申告」をざっくり言うと、「今年いくら稼いで、経費を差し引いた所得はこれだけありました」と申告し、その所得に対してかかる所得税を納付するというものです。
会社員であれば、給与額などを元に会社が代わりにやってくれる(年末調整)のですが、個人事業主はそれを全て自分でやらなくてはいけないのです。
その知識はほんのりとあったので、「白色申告しておけば大丈夫か」と油断していたのですが、青色申告をしていた方が圧倒的にメリットがあります。
青色申告と白色申告の違い
白色申告 | 青色申告 | |
---|---|---|
届け出 | 不要 | 必要 |
開業届 | 不要 | 必要 |
控除 | なし | 10万円、55万円、65万円
e-taxによる電子申告、または |
帳簿 | 簡易な方法による記帳 | 10万円控除の場合は簡易簿記、 55・65万円控除の場合は複式簿記 |
弥生会計やfreeeなどのサイトにわかりやすい解説があるので詳しくはそちらをご参照ください。
1年目だけ白色申告をして、2年目から青色申告で65万円の控除を受けるようになって、この控除が本当にありがたいと痛感しました。
白色申告は事前申請や開業届が不要なので楽だと思って後回しにしていたのですが、実際に納税すると額の違いに「早く開業届を出しておけばよかった…」と後悔しました。
青色申告は簿記の知識などがいるのかな…?と最初は尻込みしました。
私は「弥生会計」を利用していますが、経費と収入を入力さえすれば自動で必要書類などを揃えてくれるのであまり難しく考えなくてもよかったです。
余裕があれば、税理士さんに委託するのもいいと思います。
失業手当のはなし
独立時、「失業手当は次の会社へ就職する人のためのもの=就職しない人(自営業する人)は受給してもらえないもの」だと勘違いしていました。
初めて失業手当を受給されていた時は、ハローワークに対して就活の状況、面接結果、入社した会社がどこかを逐一報告していたため、フリーランスで独立する意思を固めていた私は、これの対象外だと思っていたんですよね。
フリーランスとして開業する人が失業手当を受け取るには
実は、「フリーランスになる予定でも失業手当をもらえるケース」があります。
ポイントになるのは、開業届を出すタイミング。
開業届を出した時点で「就職の意思がない=失業状態ではない」とみなされるため、基本的にはその時点で受給資格がなくなってしまいます。
そのため、「ハローワークに通いながら受給を続け、しかるべきタイミングで開業届を提出する」という流れをとっている方も多いようです。
- ハローワークで失業保険の申請(離職票を提出)が必要
- 退職する前の2年間で、雇用保険に入っていた期間が12ヶ月以上ある
- すぐ働ける状態にある(病気があったり、妊娠中の方は受給できない)
条件に応じて「再就職手当」を受給できるケースもあるようです。
何にせよ、まずは離職票を持ってハローワークに相談しにいくのが一番いいでしょう。
「いずれ開業したいけど、まずは失業手当をもらいながら準備したい」という人は必ず相談してみてください。
私は開業届を出した後にこの事実を知ったので、本来もらえたかもしれなかった手当を受け取れなくて非常に後悔しています。
事前に調べる癖、大事です。
会社員時代には考えもしなかった、「制度との付き合い方」。
私はフリーランスとしての横の繋がりもなく、「こういう時どうすればいいの?」と聞ける相手もおらず、1から教えてくれる人もいません。自分で調べて、自分で決めなければならない事がとにかく多いです。
業種にもよりますが、フリーランスとして独立する方はまず、
- 「失業手当」がもらえそうならもらっておいた方がお得
- まずは離職票を持ってハローワークへ相談に行こう
- 開業準備が整ったら、税務署で「開業届」を出そう
- ついでに「青色申告の申請」も一緒にやろう
この3点は最低限、事前に押さえて調べてみると安心かと思います。
私のように後悔だらけのスタートになる人が少しでも減ればいいなと願っております。
次回は、営業・契約についてのお話を記事にしたいと思います!